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2018年8月11日土曜日

道議会質問「子どもの貧困対策」

 8月8日、北海道議会少子高齢社会対策特別委員会で「子どもの貧困対策中間報告」が行われましたので、質疑をいたしました。
 大学・短大・専門学校など高等教育機関への進学率80.6%になっていますが、児童養護施設退所者の大学等への進学率が35.2%であり、生活保護世帯では36.9%にとどまっていることなどを取り上げ、北海道の支援をもとめました。
 質問全文は、以下の通りです。

【2018年8月8日 北海道議会 少子高齢社会対策特別委員会 子どもの貧困対策推進計画推進状況について】

☆宮川質問1 子どもの貧困の考え方について
まず、質問の前提となることの確認をさせていただきます。
今回の「北海道子どもの貧困対策推進計画」だが、貧困の考え方には、絶対的貧困と相対的貧困があるが、今回の貧困対策の「貧困」はどちらの概念を基準にしているのか。


※道答弁1 貧困の考え方についででありますが
一般的に、「相対的貧困」は、
その国の平均的な生活水準と比較して、困窮している状況を表し、
「絶対的貧困」は、家や食べ4物がないなど、人間として
最低限の生活を維持することができない状況を表している。
「子どもの貧困対策の推進に関する法律」等において、
相対的に貧困の状況にある18歳未満の者の割合を
「子どもの貧困率」と定義し、
指標として定めているところであり、
道においても、こうした国の考え方に基づき、
計画を策定している。


☆宮川質問2 貧困線の推移について
 絶対的貧困は食べられるか、住むところがあるかという、昔ながらの貧困の概念だが、今回の「子どもの貧困対策推進計画」で問題にしているのは、相対的貧困とのことである。
進学率が全面的に経済的事情に左右されるわけではないが、一例として高校進学率のことを述べる。1950年の段階では、男子の高校進学率は50%弱で、女子は37%程度でした。当時、高校に行かないことは特別なことではなく、それをもって「貧困」だとはされなかったが、現在では、男女ともに95%以上の高校進学率となっており、進学しないことはむしろ特別の事情があるものとみなされ、経済的事情の場合は、「貧困」の問題とされます。相対的貧困とは、このような考え方ですね。
 さて、「子どもの貧困」は相対的貧困の問題ととらえられています。
 国全体の相対的貧困率は、2012(H24)年16.1%から、2015年(H27)年15.7%に改善。子どもの貧困率16.3%から13.9%へと改善しているとされていますが、国民生活及び子供のいる世帯の生活水準がよくなっているとは感じられない。
 相対的貧困の算出は、所得の多い人から順に並べ、全体が100人であれば50番目、真ん中の順位の人の所得を出して、その半分の金額を貧困線と呼んでいますが、2015年の貧困線は122万円だが、年代を追って下降してきているのではないか。貧困線の最高値と年度を示されたい。


※道答弁2 貧困線の推移についてでありますが
貧困線は,世帯の手取り収入に相当ずる可処分所得を
世帯一人当たりに換算し、
その中央値の半分の額を示すものであり、
この額を下回る者の割合を相対的貧困率としている。
貧困線の値は、国が3年ごとに実施する
国民生活基礎調査の大規模調査で計算されており、
算出が開始された昭和60年以降、
最も高かったのは,平成9年の149万円となっている。


☆宮川質問3 子どもの貧困に関する指標の目標を再設定について
 平成9年1997年には貧困線が149万円だったものが、2015年には122万円へと27万円下がったということです。
貧困率、すなわち貧困線以下の人は減っているのですが、基準となる貧困線そのものが低くなっていることが問題です。
貧困線が下がっているということは、所得の中間値も下がっているということであり、国民全体のうち、所得の少ない方から半分の人は、所得が減少しているということです。
貧困線が27万円下がったということは、所得の中間値は54万円さがったということであり、大幅な減少です。

さて、「子どもの貧困対策推進計画」で、「子どもの貧困に関する指標」として、12項目を掲げています。
そのうち、生活保護世帯および児童養護施設それぞれの高校進学率、母子世帯及び父子世帯の就業率など7項目について具体的数値目標を定めています。
このうち、「児童養護施設の子どもの高校進学率」、「ひとり親家庭の就業率」など5項目では目標を達成している。
これら5項目の目標は、現在の到達点を踏まえ、引き上げるべきと考えるがいかがか。
 また、目標を設定していない項目について、設定して充実をはかるべきではありませんか、うかがいます。


※道答弁3 指標についてでありますが
道では、子どもの貧困対策を総合的に推進するためには、
関連施策の実施状況や対策の劾果等を、
客観的に検証•評価することが必要と考えており、
国の子どもの貧困に関する大綱では、
いずれも目標値は設定されていないものの、
道の計画では、目指すべき水準を定め、
その達成状況を把握することが
計画の進行管理を行う上で必要と判断した項目について、
目標値を定めているところ。

道としては、現在の計画の終期である平成31年度に向けて
生活保護世帯の子どもの高等学校等進学率などの目標達成に向け
各般の施策の一層の推進に努めるとともに、
既に目標を達成している指標及び
目標値を設定していない指標についても
さらに充実が図られるよう取り組んでまいる。


☆宮川質問4 児童養護施設退所児童の自立支援について
 目標の上乗せや新規設定はしないが、さらに充実をはかるということですので、言葉で終わらせず見るべき前進をはかるよう要請します。
大学・短大・専門学校など高等教育機関への進学率80.6%になっていますが、児童養護施設退所者に限ると35.2%であり、著しく低い状況です。
NPO法人ブリッジ・フォー・スマイルの調査によれば、2011年に施設を退所して進学した337人のうち、進学後1年で10.3%が中退、4年後には26.5%が中退しています。学生全体の中退者が7.8%であることに比べて非常に高くなっています。
また、施設退所後直後の無職者は11人ですが、4年後の無職者は31人に増えています。
進路が把握できない不明者は退所時に3人だったものが、4年後に34人になっています。
施設退所後の生き方が非常に不安定であること表れています。
札幌市内の児童養護施設を退所したシンガーソングライターのJUNさんは自らの過去を振り返った曲「マイカントリーホーム」のなかで、「施設を出た日、家族がいないこと、頼る人がいないことを初めて知った。もう一度帰りたいけど、これからは一人で歩かなきゃ」と、孤独を乗り越えて前向きに生きていく決意を歌っています。
18歳で、身寄りもいない、相談する人もいない社会に突然出ていくのです。支援強化が求められています。
退所者が、相談したり頼る人がいない状況等についてどう把握し、どう支援を強化するのか、うかがいます。


※道答弁4 児童養護施設退所者への支援についてでありますが
道では、施設退所後の児童の
社会的自立に向けた支援について検討を行うため、
進路や就労の継続状況等について定期的に調査を行っており、
この調査から、退所児童の多くが保護者からの支援を得られず、
大学中退や転職を繰り返すケースも多いことなどを把握したところ。

このため、道としては、自立した生活を送るために、
大学に進学する際の生活費の支援や必要に応じて
最大22歳まで施設で生活できる制度を創設するなど、
自立支援の強化に取り組んできたところであり、
退所児童の更なる支援の充実に向け、今後、こうした取組に加え、
施設を退所するに当たって、児童一人ひとりの支援計画を作成し、
退所後の生活状況をきめ細かに把握しながら、
定期的に面談などを行う体制づくりに取り組んでいく考え。


☆宮川質問5 児童養護施設および生活保護利用世帯の子どもの大学等への進学について
施設に22歳までいられるようにする、退所後に定期的な面談をするとの答弁でした。
現場は非常に、多忙です。業務が増えるのであれば、増員が必要です。増員やほかの業務の合理化なしに仕事だけ増やすことは、職員の過重労働、ひいては子どもに対してもよくない影響をもたらすことになり、増員に必要性を重ねて指摘しておきます。
道の「子どもの生活実態調査」によれば、500万円を超える世帯においては親が子供に受けさせたい教育が高校までという回答が13%である一方、年収300万円以下の世帯になると33%と、世帯の収入と受けさせたい教育のあいだには強い関連があることがはっきりしました。
道は、児童養護施設や生活保護世帯から、希望する子どもが大学等高等教育へ進学することは、貧困の連鎖を断ち切るため、また学問の自由を守るために、重要なことだと考えますが、いかがか。
また、そのための支援をおこなっているのか、うかがいます。


※道答弁5 大学等への進学についででありますが
道では、子どもの将来が生まれ育った環境によって
左右されることなく、夢や希望をもって、
安心して生活できる環境の整備が必要と考えている。
このため、児童養護施設を退所し、
大学等へ進学する際の進学支度費や
就職者を含めた居住費の支援をはじめ、
生活保護世帯への就学資金による大学進学等の教育機会の提供、
キャリアカウンセリングなどを活用した就職支援を行うなど、
子どもたちが大学進学をはじめ、就職先や働き方などについて、
家庭の経済的な事情にかかわらず、自ら選択できるよう
取り組んでいる。


☆宮川質問6 児童養護施設や生活保護世帯からの大学等への進学の目標を設定することについて
 貧困の連鎖が問題となっており、子どもが生まれ育った環境に左右されず、希望する進路を進むことができるような社会の構築へ向けて、道の役割を果たしていただきたいと考えます。
 そのうえで、いま大きな課題となっているのが、児童養護施設退所者の大学等進学率が35.2%であり、生活保護世帯では36.9%にとどまっている問題です。ここが上がって行かないと、子どもが生まれ育った環境に拘束されて、希望しても進学できない、貧困が連鎖するということであり、学問の自由も保障されないということであります。
課題は具体的であり、目標を設定して取り組むべきですが、いかがか、対策監の決意をうかがいます。


※道答弁6 大学等への進学の目標値の設定についてでありますが
道では、道民や関係者の方と計画の目指す姿を共有しながら、
施策を効果的に推進するため、
児童養護施設や生活保護世帯の子どもたちの
大学等への進学率などを指標として設定し、
各事業の推進状況を検証•評価する中で、
その改善に向けた取組を進めてきている。
道としては、子どもの将来が
その生まれ育った環境に左右されることのないよう、
今後とも、大学進学に当たっての
奨学金制度のきめ細やかな情報提供を行うとともに、
大学等に進学した際の生活保護世帯の子どもへの一時金の給付や
施設退所後の児童への進学支度費の支弁のほか、
相談支援の強化を図るなど、更には
国における高等教育の無償化などの動向も注視しつつ、
子どもたちの希望に即して
大学等への進学の機会が均等に提供されるよう、

なお一層取り組んでまいる。

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