昔は、「公共事業は割のいい仕事」と、請け負いたい業者が競争していました。
しかし、最近は、入札参加者がいない、あるいは、市が決める予定価格(落札の上限金額)が低く、入札(業者が請け負いたい)金額が高く、失格となってしまい、工事を請け負う業者が決定できないことがあるのです。
入札に参加しない理由の一つが、現場で働く労働者を確保できないので、仕事を請け負うことが出来ないのです。
現場労働者を確保できないのは、(東北の復興のために、北海道に労働者がいないこともありますが)賃金が安いために、建設現場で働く人が減っているのです。
長年にわたって、ダンピングが横行し、元請けが安い金額で仕事をとる ⇒ 下請に安い金額で仕事をやらせる ⇒ 現場労働者の賃金を低く抑える
このようなことが続いてきたために、建設現場で働く労働者が減ってしまったのです。
賃金を上げることが必要だ、と求めました。
***質問の全文は以下をごらんください。
【財政局・入札不調①】
入札不調・不落の問題について、私は、建設産業の構造的な問題に触れる角度から質問します。
土木学会2010年の論文集で国交省や建設経済研究所関係者による「不調・不落の発生原因に関する分析」が掲載されていますが、そこでは「今回起こっている不調・不落は、過去の一連の改善では解決できない問題を内在している」と、問題を非常に深刻に受け止めていることがわかります。
さらに、2013年3月国土交通省建設産業局長通知「技能労働者への適切な賃金水準の確保にかかわる要請」では、「ダンピング受注の激化が、賃金の低下や保険未加入を招き、これが原因となって、近年、若年入職者の減少が続いている。その結果、技能労働者の受給のひっ迫が顕在化しつつあり、入札不調が発生」との基本認識を示しています。
若い人で、建設業界に就職する人が減り、現場では高齢化が進んでいるという話はよく聞きますが、技能労働者の不足と高齢化が、この点について、どう把握されているのか、お示しください。
【財政局・入札不調②】
かつての構造改革路線のもとで、ダンピングが繰り返され、元請け業者の低価格受注が続き、それが下請け業者への低価格発注につながり、技能労働者の低賃金へとしわ寄せされていきました。
その結果、若い人で建設業に就職する人が減り、建設業界での高齢化に結びついていることは、答弁にあった通りです。
また、昨年の全国のデータですが、全産業における55歳以上の就業者は29%なのに対して、建設業では34%と高く、全産業における29歳以下の就業者が17%なのに対し、建設業では10%ですから、建設業は年齢の高い就業者が多く、若い就業者が少ないということが言えます。
昨年3月の国土交通省建設産業局長が、建設業団体、都道府県知事と指定都市市長、および民間発注者団体にあてた文書では「若年者が建設業への入職を避ける一番の理由は、全産業の平均を26%も下回る給与水準の低さ」と断言しています。
設計労務単価は、昨年と今年上がったと言っても、それでもまだまだ低い水準にあるのではないかと思いますが、過去の労務単価と比較すると、どういう水準にあるのか、お答えください。
【財政局・入札不調③】
建設現場は、いわゆる3K「きつい・汚い・危険」な職場と言われてきたこと、そして国交省が認めたように、賃金が低いために、建設技能労働者が減少しているのです。
長く続いてきた建設投資の減少と、行き過ぎた低価格競争によって、発注の減少、賃金が減り続けてきたために建設技能労働者が減少してきたところにもってきて、現在、急に建設投資の増加したことによって、建設技能労働者の取りありになり、確保することが困難になっているのであります。
労働者を確保できなければ、受注することはできないのであります。
私は、昨年から今年にかけての、入札不調・不落の原因を、労働者の確保の1点のみに限定するつもりはありませんが、建設業界の置かれている構造的問題を見るならば、非常に大きな問題だと考えています。
その改善のために、短期的には、賃金や社会保険の加入なども含めた労働者の処遇改善、中長期的には、直接雇用など雇用形態や下請け構造の改善が必要だと思います。
本市は、発注者として、元請け企業に対して、どのような働きかけができるのか、うかがいます。
【財政局・入札不調④】
入札不調には、建設業界の構造的問題が深くかかわっており、労働者の賃金の問題も大きいことが、明らかになってきました。
私は、なんでも安い価格で発注できればよいということではなく、適正な価格で仕事を出し、品質の高いものを成果物をつくり、労働者にも適正が賃金が保障される、そういう入札方法を求めるものです。
その点で、総合評価入札が年間30件程度行われていますが、今後は、その件数を拡大すべきと思いますが、いかがか、うかがいます。
【財政局・入札不調⑤】
ぜひ、総合評価方式については、拡大してほしい。
若い建設技能労働者が減っていることは、業界全体の大きな問題になっています。
現場の労働者がいなくなれば、工事ができない、ビルも建たなければ、道路1本作ることもできないわけです。
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