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2014年10月26日日曜日

官製ワーキングプアをつくりだす指定管理者制度

 札幌市議会決算特別委員会で、指定管理者の問題を取り上げて質問しました。


 市有施設の管理運営は、昔は、市が直接行なっていましたが、その後、第3セクターという市と民間が共同で運営することが多くなり、現在は指定管理者制度になっています。

 指定管理者とは、公の施設を、公募により(非公募もあります)、株式会社など営利企業や、NPO(非営利民間団体)などに委託して、管理運営する方法です。
 札幌市の場合は、4年間の委託契約を行ない、4年後には、あらたに委託契約希望者の公募を行ない(公募しないこともあります)、審査の上、適切なところと委託契約します。

 委託を受けた会社は、業務に合わせて職員を採用しますが、4年後には仕事がなくなるかもしれないので、パートなど非正規職員を雇用することになります。

 指定管理者制度は、短期契約のため、非正規雇用・官製ワーキングプアをつくりだす温床となっています。

***以下、質問の全文です***

【市長政策室・指定管理者①】
私どもは、これまでも、4年に一度選定する指定管理者制度の問題点について、低賃金と不安定雇用は、制度そのものが持つ属性であると問題点を指摘してきました。
この制度は、「住民サービスの向上や経費の節減等を図ることを目的」にしていると説明されていますが、20111月、当時の片山総務大臣は記者会見で
指定管理者制度について、「自治体のこの制度をコストカットのツールとして使ってき。自治体は、企業に対しては、正規雇用を増やしてくださいということを働き掛けるが、当の自治体が、自ら内部では非正規化をどんどん進めて、なおかつ、アウトソースを通じて官製ワーキングプアを大量に作ってしまった、その自覚と反省は必要だ」
と述べています。
古い資料になりますが、20093月現在で、本市指定管理者の抽出調査によれば、正規職員の月給の平均は227701円、契約職員は169252円、嘱託職員139200円、パート・アルバイトの時給が820円となっています。
わが党の今年1定の文書質問の答弁書では、本市指定管理者の職員3,387人のうち、正規職員は1,080人、非正規は2,307人と68%を占めています。
201112月に発行された北海学園大学経済論集に掲載された川村雅則氏の研究ノート「北海道における失業・不安定就業問題(4)指定管理者分野における雇用・労働」では、本市指定管理者に調査票を送り、回答のあった106件について集約をしたものですが、そのなかの自由記載欄では「職員研修を行いたいが予算がない」、「収入のほとんどが自治体からの委託料であるため、正規職員の採用が見込めない」、「経費削減重視が、結果的に人件費の削減につながっていく。指定管理者制度の撤廃もしくは非公募を望む」などと書かれています。
指定管理費不足のために、職員研修ができず、正規職員が採用できず、人件費の削減をせざるを得ないということですから、指定管理者制度が目的の一つとしてきた「住民サービスの向上」には結びつかないと言わざるを得ません。
わが党が、毎年第1回定例会の文書質問で、指定管理者の職員数を調査しています。
2009年と2013年の比較をすると、職員数は3,169人から3,387人と218人増えているのですが、そのうち正規職員数は1,144人から1,080人に64人減っています。非正規職員は2,025人から2,307人へと282人増えているのであります。
川村先生の調査の自由記載欄の声を紹介しましたが、それが、数字になって表れたのが、この非正規職員の増加です。
本市指定管理者の状況は、片山元総務大臣が指摘した問題点がそのまま当てはまる状況です。
指定管理費は2006年度365施設に対し、1146200万円なのに対し、今年度417施設に1204700万円と、施設1か所あたりの指定管理費を割り返せば、減少しており、それが指定管理者の人件費削減に結びつき、正規職員が減り、非正規職員、すなわち不安定・低賃金労働者が増えることになっていると思うのですが、この点について、どうお考えになっているのか、うかがいます。



【市長政策室・指定管理者②】
 指定管理費が少ないことや、指定管理者が4年ごとに選定されるために、職員が不安定雇用になっている問題を指摘しました。
 さらに現場で起きている深刻な状況ですが、指定管理者から施設内清掃や警備などの業務が再委託されることがあります。
 その賃金はほとんど最低賃金にぴったりはりついています。
 現在、最低賃金は時給748円であります。
18時間フルタイム、21日間働いたとすれば、1か月の賃金は125,664円、年収は1507,968円ですからワーキングプアです。
1か月125,664円で、家賃を払い、電気・水道・ガス・電話代・健康保険料、冬場は灯油代です。
 再委託を受ける業者は、1年ごとに契約することもあり、前年度の業者から次年度の業者へと入れ代っても、現場で働いている労働者は同じ人が同じ作業をしていることも多いようです。
その場合、仕事内容は継続しているのですが、使用者が入れ代わるため、何年働いていても勤続年数は1年目ということになります。
毎年、4月に業務が開始され、10月までの6か月間は、年次有給休暇が発生しません。土日に勤務がある場合には、子どもの運動会にも行けず、夏休み・盆休みも取れないのです。子どもが病気になっても、保育所や学校に迎えに行くこともできません。
そして、毎年、新人ですから、賃上げもされないのです。
 このような再委託の実態について、どういう問題意識をお持ちですか、お聞かせください。
 また、対策を検討すべきと思いますが、いかがか、うかがいます。



【市長政策室・指定管理者③】
 さきほど指定管理費が増えていない問題を指摘いたしましたが、今後、北電が電気料金を値上げした場合について、質問します。
 代表質問でお尋ねしたのですが、値上げの「札幌市への影響については、一般会計で年間14億円、企業会計で年間116千万円」とのことでした。
 20%を超える規模の値上げとなった場合、指定管理者の影響は非常に大きいものと思われます。
 年度途中の値上げということになれば、補正予算を組んで対応する必要があるのではないかと思うのですが、どのように対応するお考えかうかがいます。



【市長政策室・指定管理者④】
 指定管理者制度そのものが、不安定・低賃金労働を作り出す仕組みを持ち、さらに、再委託が拍車をかけています。
 法律上、施設の管理は、指定管理者でなければ、本市が直営でやるしかないというもとで、方法は限られていますが、非公募にする、指定管理期間を延ばすなどいくつか考えられます。

 まず、官製ワーキングプアを本市では作り出さないという前提のもとで、より合理的な方法を取り入れていただきたい。

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