その質問と答弁を、わかりやすく分割して、掲載しています。
国は、農協中央会への圧力を強めています。
しかし、北海道は農業王国、農協中央会の役割は重要です。
道内には、病院は厚生連(農協関係)、スーパーもAコープ、ガソリンスタンドも、年金の受け取りなど金融機関も農協に頼っているところが、たくさんあるのです。
農協の役割は重要という趣旨の答弁を引き出すことができました。
○30番宮川潤君
次に、農協法改革案にかかわって質問いたします。
政府は、農協中央会を農協法から切り離し、一般社団法人化しようとしています。道内のある農協組合長は、農協中央会が農協の活動を妨げているなどということはないと断言しています。
知事のところには、農協中央会は要らないというような意見が届いているのかいないのか、また、農協中央会の役割をどう評価しているのか、御答弁ください。
厚生連の病院は10カ所で、そのうち、4カ所が地域センター病院に指定され、ほかに、診療所は六つあります。ガソリンスタンドや金融窓口、スーパーマーケット等、地域医療と日常の暮らしに欠かせない総合農協としての役割をどのように評価していますか、伺います。
道内の農協の構成は、組合員が2割に対して、准組合員が8割です。准組合員の利用制限が行われれば、生活が成り立たなくなる地域も出てくると思われるのです。北海道の実情を無視した議論だと考えますが、見解を伺います。
ICA ― 国際協同組合同盟は、昨年6月、日本の農協改革に懸念を表明し、協同組合の自治と独立は、いかなる形の外部からの力によっても侵されるべきではないと述べています。法律による上からの改革などはあってはならないことです。
道は、農協組織による自己改革をどのようにバックアップしていく考えか、伺います。
販売農家戸数は、2014年度で3万9700戸と、ついに4万戸を割りました。農業就業人口は10万1600人で、20年間で半数程度に減少し、高齢化も進んでいます。
後継者対策は喫緊の課題です。道内の101市町村で新規就農者等に対する支援を行い、47市町村で体験学習等への助成を実施しています。各地の取り組みについて、道は、これまで、どういう形で支援してきたのですか。
また、各地の実情、自主性に沿った取り組みを今後どう支えていくおつもりか、伺います。
農外からの新規参入者は、2013年で、比較的小規模でも経営できる野菜生産が48%を占めています。一方で、農業用ハウスなど初期投資による借金が大きいことが要因となって、新規就農者の定着率が低いということも聞いております。都会から農村への移住も注目されています。
農家の後継者や新規参入者など、農業の新たな担い手をふやしていくために、知事はどのように取り組んでいくおつもりか、見解を伺います。
○知事高橋はるみ君
次に、農業に関し、まず、農協組織の自己改革についてでありますが、JAグループ北海道は、昨年11月、組合員や農協から出された意見、提案を踏まえ、生産資材のコスト低減や生産物の有利販売、6次産業化の推進などを柱とする自己改革プランを取りまとめ、今後5年間を重点期間として、組合員の所得向上や農村地域の活性化に取り組むこととしていると認識をいたします。
道といたしましては、本道農業・農村の持続的な発展に向け、この改革プランにも示されている、生産力の強化や担い手の経営安定、魅力ある農村づくりなどに、農協組織と連携して取り組んでいく考えであります。
次に、担い手の育成確保についてでありますが、本道の農業、農村が今後とも持続的に発展していくためには、多様な担い手を内外から広く受け入れていくことが重要であります。
このため、道では、小規模な経営を志向する方々も含めて、農業担い手育成センターによる就農相談や情報提供を行うほか、就農前後の所得を確保する青年就農給付金の給付や、農業改良普及センターによる技術・経営指導を実施いたしております。
今後さらに、市町村や関係機関と一体となって、移住関連部署と連携した情報発信や、新規参入者の就農先を複数の市町村で調整する体制づくりへの支援など、本道を支える多様な担い手の育成確保に取り組んでまいります。
なお、農業に関するその他の項目については、担当の部長から答弁をさせていただきます。
最後に、道営住宅に関し、電気料金値上げの影響についてでありますが、北電による2度にわたる電気料金の値上げは、道民生活や道内経済に大きな影響を及ぼしております。
○農政部長土屋俊亮君(登壇)最初に、農協問題に関しまして、農協中央会の役割についてでございますが、現在、国会で審議されております農協法の改正案では、農協中央会制度を廃止し、法施行後3年6カ月の間に、全国中央会は一般社団法人に、都道府県中央会は農協連合会に、それぞれ移行することができるとされているところでございます。
道内の農協関係者からは、農協中央会が農協の活動を妨げているといった意見は聞いていないところでございまして、道といたしましては、農協中央会は、農協の経営管理や人材育成、合併の推進など、健全な農協運営を指導するとともに、農業政策などに関して、地域における組合員の意見集約や施策提言を行うなど、本道農業の発展に大きく寄与してきたものと認識しているところでございます。
次に、農協の役割についてでございますが、農業を基幹産業とする北海道において、農協は、農業者が自主的に組織し運営する協同組合の理念に基づき、農産物の有利販売や生産資材のコスト低減など、農業者の所得の向上に資する事業を展開しているところでございます。
また、広域分散型の本道におきましては、組合員の利用はもとより、金融や保険、生活店舗、ガソリンスタンド、さらには病院や福祉施設の運営など、農村地域に暮らす住民の方々の生活を支える重要な役割も果たしていると認識しているところでございます。
次に、准組合員についてでございますが、現在、国会で審議されております農協法の改正案では、農協を利用する准組合員の使用制限に関しまして、法施行後5年間に利用状況の調査等を行い、検討するとされたところでございます。
農協における准組合員は、農業や地域経済の発展をともに支えるパートナーでありまして、人口減少への対応や雇用の創出など、地方創生の観点からも、准組合員の利用制限につきましては、慎重な検討が必要であると考えているところでございます。
道といたしましては、農協が、金融や、生活店舗、ガソリンスタンドなど、農村地域に暮らす住民の方々の生活に欠かすことのできない重要な役割を果たしている実態を踏まえまして、地域住民の暮らしに支障を来すことのないよう、今後の動向を注視してまいる考えでございます。
最後に、地域における新規就農対策への支援についてでございますが、農家子弟の方々や農外からの就農希望者の方々を地域に着実に定着させていくためには、農作業体験から研修、就農に至る一貫した支援に関係者が一体となって取り組み、全道各地に広げていくことが重要でございます。
このため、道では、農業担い手育成センターと連携をしながら、地域での研修受け入れ情報の発信や、地域の参画によります就農セミナーの開催、農業改良普及センターによります新規就農者への技術・経営指導、地域における受け入れ体制づくりへの支援、さらには、先駆的な取り組み事例の紹介などを行ってきたところでございまして、今後とも、市町村や農協との連携を密にしながら、新規就農者の確保に向けました地域の自主的な取り組みの支援に一層努めてまいる考えでございます。
以上でございます。