知事に向かって質問 |
質問と答弁を、項目ごとに分けてご紹介しています。
今回は、自主避難者支援についての質問と答弁です。
福島第一原発事故のために、避難地域には指定されていない地区から、北海道にも自主的に避難している人がいます。
そういう方々への支援は、住宅支援(家賃の上限あり)のみですが、それも打ち切られようとしています。
以下の質問と答弁をごらんください。
○30番宮川潤君
東京電力福島第一原発事故から4年が過ぎ、いまだに12万人の人々が各地で避難生活を余儀なくされています。
福島県は、全国各地への自主避難者に対する、災害救助法に基づく住宅の無償提供を2017年3月末で打ち切ることを決めました。
自主的に避難した人は、故郷を離れ、職を失ってでも、子どものために重い決意をし、避難を決めたのです。自主避難者には、PTSD ― 心的外傷後ストレス障がい発症のおそれがある人が多いのですが、精神的損害賠償もなく、74%の方が生活に困っていると回答しています。
そこでまず、自主避難者に対する住宅支援についてです。
福島にある家に住宅ローンが残っている方も多く、また、子育て世帯が多いために、唯一の支援である住宅支援は、自主避難者の命綱になっています。
多くの自主避難者は、職を失い、夫が福島に残るという二重生活を余儀なくされるなど、経済的に厳しい状況に置かれています。知事もそのような認識をお持ちですか、伺います。
また、自主避難者を温かく受けとめるのが、避難先自治体のあるべき対応だと思いますが、いかがか伺います。
被曝を避けて避難生活を続けることも、故郷に帰ることも、避難者本人の意思が尊重されるべきだと考えますが、知事のお考えを伺います。
次に、放射能被害のために避難生活を余儀なくされている方々に対する適切な法律がない問題についてです。
現在、避難者の住まいの提供には災害救助法が適用されています。災害救助法制定の趣旨は、豪雨や台風、地震などの一般災害に対するものであり、数年間、仮設住宅に入居し、復興後に帰還することを想定しています。
放射能汚染の場合、それ以上の長期間の避難を要することになり、災害救助法では対応し切れないことになりますが、いかがか、知事の見解を伺います。
○知事高橋はるみ君
次に、道内に避難されている方々への支援についてでありますが、震災から4年が経過し、避難生活が長期化する中、道内に避難されている方々は、日々の暮らしや将来の見通しなどについて、さまざまな悩みを抱えながら、懸命な御努力をされているものと認識いたします。
道では、避難されている方々に安定した生活を送っていただけるよう、公営住宅等の提供や広報紙による生活支援情報の提供、孤立化が懸念される家庭への戸別訪問など、きめ細やかな対応に努めてきているところであり、道内の受け入れ市町村においても、被災者に寄り添って、さまざまな支援が行われております。
避難されている方々には、本道での定住を希望する方々がおられる一方、一日も早くふるさとに戻りたいと強く望んでいる方もおられると承知をしており、今後とも、道といたしましては、お一人お一人の思いを尊重して、支援を行ってまいる考えであります。
なお、避難者支援に係るその他の項目については、担当の部長から答弁をさせていただきます。
○総務部危機管理監佐藤嘉大君
次に、原子力災害への災害救助法の適用についてでありますが、災害救助法では、自然災害や原子力災害により避難生活を余儀なくされる場合には、2年以内を期限として、応急仮設住宅などの供与が行われますが、東日本大震災や福島第一原発事故の被災者については、1年ごとの期間延長による運用が行われているところです。
しかしながら、原発事故から4年を経過した今なお、依然として多くの方々が避難を余儀なくされており、こうした被災者の方々が安心して生活できるよう、生活支援や災害救助法の適用範囲の拡大などについて、国が必要な対応を行うべきであります。
道としては、北海道東北地方知事会や原子力発電関係団体協議会を通じて、国に要請しているところです。
以上でございます。
○30番宮川潤君(再質問)
自主避難者支援についてです。
自主避難者は、避難指示を受けた人とは違う複雑な悩みを抱えています。汚染がなくなったわけではないので、帰れない。しかし、住宅支援がなくなったら北海道に残れないのです。最初から、自主避難者を想定した住宅支援ではないからです。
そこで、道として、自主避難者に心を寄せた独自支援を真剣に検討するように強く指摘するものであります。
また、避難者の要望を受けとめるために、道として、避難者及び避難者団体から意見を聞く機会を設けるべきだと考えますが、いかがですか、伺います。
放射能被害からの避難に対する法整備についてであります。
自然災害と放射能汚染被害とでは、復興に係る時間、避難先から帰還するまでの年月は全く違ったものになります。自然災害ですと、大災害であっても、一、二年たてば復興できるようになることが多いものです。ですから、災害救助法も、その程度の避難生活を想定しているのです。
しかし、放射能汚染の場合は、それよりもはるかに長い期間、避難を続けなければならないのです。
福島県からの自主避難者は、災害救助法によって、避難先であるみなし仮設住宅などで2年間の避難生活をし、それで福島に帰ることはできませんから、その後は、1年ずつ延長して、みなし仮設で暮らしているのです。1年ずつ延長できるのだから、災害救助法で対応できているということになるのかといえば、そうではないのであります。
避難者にすれば、来年には出ていくことになるのかもしれない、そうなったらどうしようかという不安な思いになり、1年の延長が決まっても、さらにあと1年後には出ていくことになるかもしれず、どこに住むのかということについて、1年間しか見通しが持てないのであります。
しかも、子どもの被曝を避けるために避難してきた方が多く、何年か暮らしているうちに、子どもさんが受験時期を迎えることもあり、1年後を見通せない生活は、親子に重大な負担をもたらすことになります。
このように、1年ずつ延長できるからよいのではなく、1年ずつ延長していること自体、既に、災害救助法では対応できなくなっているということであります。長期間の避難生活を余儀なくする放射能被害を想定した新たな被災者救済法が必要であります。
知事には、避難者が、職を失い、故郷を離れ、見ず知らずの地域で避難生活を続け、なおかつ、その生活も1年後にはどうなるのかわからないという、自主避難者の苦労と悩みに心を寄せていただきたいのであります。
泊原発のある本道においても、苛酷事故は起こり得る課題と捉え、国に法制定を求めるべきと考えますが、いかがですか。
○知事高橋はるみ君
次に、道内に避難されている方々への支援についてでありますが、道では、これまでも、本庁及び各振興局に設置をした総合相談窓口での面談や、孤立化が懸念される家庭への戸別訪問、避難者団体や支援団体との情報交換などを通して、生活の状況や抱える問題などの把握に努めてきたところであります。
今後とも、避難されている方々に安心して生活を送っていただけるよう、避難されている方々の御意見などをお聞きしながら、きめ細やかな対応に努めてまいります。
次に、原子力災害による被災者への対応についてでありますが、原子力災害に伴い、今なお、多くの被災者の方々がふるさとを離れ、本道を初め、全国各地での避難生活を余儀なくされ、将来に大きな不安を抱えている状況にあります。
被災された方々の生活再建に向けては、国が責任を持って支援すべきものであり、北海道東北地方知事会や原子力発電関係団体協議会を通じ、国に対して要請をしてきているところであります。
私といたしましては、今後とも、東北地方の実情などを十分踏まえつつ、こうした避難者の方々に対する適切な支援など、総合的、継続的な対策について強く要請をしてまいります。
○30番宮川潤君(再々質問)
次に、自主避難者についてです。
帰ることができず、住宅支援を打ち切られたら北海道に残ることもできなくなるという自主避難者の切実で複雑な思いを知事にはぜひしっかり受けとめていただきたいと思います。
災害救助法についてですけれども、もともと、2年間程度の避難しか想定をしていない法律ですから、期限に見通しの持てない放射能汚染からの避難に対応させるということは、最初から無理なのです。新しい法律が必要であるとぜひ国に求めていただきたいと思います。指摘しておきます。
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