出産をする時には、かなりのお金を用意しなくてはなりませんが、低所得者の場合には、入院助産制度を利用できます。
ところが、入院助産制度では、病院が赤字になるのです。
ですから、札幌市内では3か所の病院でしか利用できません。
赤字にならないように、市が助成金を増やして、どの病院でも安心して出産できるようにしなければなりません。
●質問①通常入院5日で415,000円ちかくかかるが、助産制度では383,000円弱しか助成しておらず、32,000円ほど不足だが、どう考えているのか。
▲答弁①単価の引き上げなど、国に要望していく。
※国が実施するまでの間は、札幌市が助成すべきではないでしょうか。詳細は、以下をお読みください。
●質問(抜粋)
次に入院助産制度について質問します。
所得が少ないために出産費用の準備が大変な場合、市が、費用を病院等に支払う助産制度がありますが、本市で指定している助産施設は、3か所ですが、そのほとんどを2カ所で実施しているというのが現状です。
質問の第1は、貧困が進む中で入院助産制度の果たしている役割についてです。
産婦人科の病院で出産する人を対象に行った調査によりますと、1997年度と2011年度を比較すると、入院助産制度の利用者は、17.4%から31.8%と2倍近く増えています。また、未婚で出産した人は13.7%から30.8%、生活保護を受給している人の利用は、7.5%から25.6%、夫が無職の人が9%から13%となっています。
妊産婦における貧困と、出産時の家庭や社会的環境の困難さが年々深刻になっており、入院助産制度の果たす役割はますます重要になっていると思いますが、いかがか、市長の認識を伺います。
質問の第2は、出産後の育児支援の必要性についてです。先ほど申し上げた調査では、精神疾患を持つ人は1997年度2.4%が2011年度6.5%、育児困難は、3件から12件となっており、出産後の育児などに関する支援がますます重要となっています。また、貧困やひとり親家庭が増えていることから、収入が少ない、働き続けられるかなどの経済的な悩みも多く、不安を相談する人がいないことなど、育児ノイローゼや虐待につながることが危惧され、産後のフォローが重要になっています。
この点についての市長のご見解を伺います。
質問の第3は、助成額についてです。
現在、助成額は、入院5日で38万2750円です。一般的な出産では入院5日で平均41万4830円ですから、3万2080円不足です。
出産のときに処置が必要なこともあり、その場合には、さらに差が広がります。
質問の第4は、市立病院での実施についてです。
現在、市立病院では入院助産制度に取り組んでいません。
低所得でも安心して出産できるようにすることは、本来公立病院が担う役割ではないでしょうか。しかも、実際の出産費用よりも助成額が少なく、実施すれば、助産施設が赤字となる構造であり、産後フォローも無報酬です。民間よりも、公立が実施すべきと思うのですが、いかがか、うかがいます。
▲答弁(要旨)
入院助産制度を実施している助産施設は、経済的理由により入院助産を受けることができない妊産婦を対象としている施設。
妊産婦に対して安全で衛生的な出産を保証するとともに、胎児が無事に産まれてくることを確保し、ひいては児童の健全な育成を図るための大変重要な施設であると認識。
札幌市では、妊娠期から18歳まで切れ目のない母子保健事業を実施しており、特に、出産後早期からの育児支援は大変重要であると認識。
そのため、母子健康手帳交付時の面接相談や産科医療機関との連携により、妊娠中から支援の必要な妊婦を早期に把握し、継続支援を行なうほか、生後4カ月までの乳児のいる全家庭を訪問する中で、母親の精神的な状況も把握しながら必要な支援を行なっている。
さらに、医療機関が把握した、支援を必要とする親子の情報をもとに、退院直後からの育児支援体制を構築し、育児不安の軽減や児童虐待の未然防止に取り組んでいる。
今後も、切れ目のない支援体制の充実を図るとともに、「さっぽろ医療計画」に掲げられている、保健・医療に関する相談・連携体制の充実に取り組み、安心して子どもを産み育てられる社会環境の整備を目指してまいりたい。
助産施設の運営費は、国が定めた基準単価をもとに設定しており、実際の出産費用とは差があることから、札幌市においてその一部を市単費で補助している。
助産の実施を円滑に進めるため、単価引き上げや新たな加算制度の創設などについて、引き続き他の政令指定都市と共に国に要望していく。
市立札幌病院は、道央圏唯一の総合周産期母子医療センターとして北海道から指定を受け、市内外から切迫流早産、多胎妊娠などのハイリスク妊婦の受け入れを行なっている。
これら母体緊急搬送受け入れ用の病床を安定維持する必要があることから、分娩の月間予約数を制限している。
このような状況から、助産施設としての病床を確保することにより、道央圏におけるハイリスク分娩等の母体緊急受け入れを安定的に行なう事が出来なくなる恐れがある。
したがって、総合周産期母子医療センターとして市立札幌病院に与えられている使命を全うするためには、現状においては、入院助産制度への取り組みは難しいと考えている。
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