札幌市内で開かれた「第29回北海道学童保育研究集会」に参加しました。
講座「子ども子育て新制度で学童保育はどう変わるのか」(講師・佛教大学社会福祉学部奥野隆一先生)に参加しました。
子ども・子育て関連3法ができ、来年の第2回定例会までに、市町村の条例で「設備と運営基準」を定め、学童保育の内容を規定することになります。
まず、共働き世帯などの子どもが、放課後に一人で放置されることなく、学童保育で保育を受けて成長する権利がある・保障されることをしっかりと位置付けることが必要です。
学童保育を受ける権利は平等であること、利用できる条件は親の就労の他、疾病、介護、また児童に障がいがあるために集団生活を必要とする場合も含まれます。
その学童保育で受けられる保育の質(最低基準)が、確保されなければなりません。
保育の質は、客観的条件により保障されます。学童保育所の規模、児童一人当たり面積、施設設備などです。
職員の資格と処遇に関する規定も必要です。
全国学童保育連絡協議会(以下、全国連協)が、「私たちが求める学童保育の設置・運営基準(改訂版)」という提言を出しています。
以下、その提言内容をご紹介しつつ、今後の学童保育の在り方を考えていきます。
現在、母親の労働が増えてきたことなどもあり、保育需要が高まり、保育所においては定員があるため、入りきれない待機児童が急増しています。
一方、学童保育所においては、定員を定めていないところが多いため、学童保育所にどんどん児童を押し込む「大規模化」が問題になっています。入所児童数が100人を超えるところも出ています。
厚生労働省は、2007年に「放課後児童クラブガイドライン」を策定し、「放課後児童クラブにおける集団の規模については、おおむね40人程度までとすることがのぞましい。また、一放課後児童クラブの規模は最大70人までとすること」としました。
全国連協は、「大規模化の中で指導員を増やしたとしても、一人の指導員は全員の子どものたちを見なければならないので、解決にはなりません」とし、「31人を超えた場合に『2学童保育とする』、『2クラス』に分割することが必要」としています。
さらに、施設設備について
①生活室(子ども1人あたり1.98㎡)
②プレイルーム(子ども1人あたり1.98㎡)
※生活室とプレイルームを強要する場合は、子ども1人あたり3・96㎡
③静養室(8㎡以上)
他にも、事務室、台所、温水シャワーなどの設備が必要だとしています。
指導員の勤務時間は、
平日 6時間2分
土曜日 10時間1分
夏休み期間等 10時間26分
国の補助金の考え方は、、平日6時間勤務、土曜日と夏休みなどは8時間勤務の「非常勤職員」としています。
指導員実態調査では、7割の指導員が保育士、または教諭の資格を持っています。
2015年4月から、指導員の資格が定められて、学童保育が実施されます。
保育士・教諭の他、養護教諭・幼稚園教諭の資格を必要とすると決められるかもしれません。
私は、指導員の質を高め、指導員が現実に果たしている役割にふさわしい社会的地位を得るべきだと考えますから、厳しい基準や資格を導入するのはいいことだと考えます。
しかし、これまで、数十年間にわたり、札幌の学童保育を支えてきた献身的で有能な指導員の中に、なんの資格も持たない人がいるのではないでしょうか。
その人は「指導員として認めない」ということでよいのでしょうか。
私は、これまで札幌の学童保育をつくってきた人材を生かせないような、新制度であるなら、宝をみすみす捨て去るような学童保育行政になってしまうと思うのです。
これまで、学童保育をつくり支えてきた実績ある指導員は、資格がなくても、研修を受けることで、市が学童保育指導員としての資格を認定すべきだと思います。
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